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インプラント一回法と二回法における違いとメリット・デメリット
人工歯根治療を検討されている方に向けて、一回法と二回法の違いについてご紹介していきます。
人工歯根治療を受けたいと思ったものの、「インプラント二次手術とは?」「一回法と二回法はどちらがいいのだろう」と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回の記事ではインプラント一回法と二回法の違い、それぞれのメリット・デメリットを解説いたします。
参考にしていただければ、それぞれの手術の流れや、ご自身にあう手術法がご理解いただけるはずです。
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一回法とは
インプラントの一回法とは、歯肉を1回しか切開しない手術法のことです。
従来の人工歯根治療は「二回法」と呼ばれていました。歯肉を切開して縫合した後に、3か月後、ふたたび歯肉を切開して問題がないか確認し、ヒーリングキャップと呼ばれる蓋を装着する方法です[1]。
一回法に対して人工歯根二回法では、1回目の手術で蓋の装着まで済ませてしまいます[1]。そのため歯肉の切開は1回のみです。
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二回法とは
二回法とはこれまでの人工歯根治療で主流とされていた手術法で、治療の中で歯肉を2回切開します。
最初の手術では歯肉を切開して骨に穴を開け、フィクスチャーを挿入してから縫合を行います。そして3ヶ月後を待ち、インプラント二次手術にてもう一度歯肉を切開するのが二回法の特徴です[1]。
インプラント二次手術での切開で特に問題がなければ、蓋を装着して次の治療段階へと進みます[1]。
以上のように二回法は、インプラント一回法とは違い、2回の切開が必要となる手術法です。
一回法と二回法の違い
一回法と二回法の特徴について簡単に解説いたしました。それでは人工歯根一回法と二回法の違いについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
違い1:費用
一回法と二回法では費用が異なります。
一回法であれば手術を1回しかしないため、インプラント二次手術が必要となる二回法に比べると、必然的に治療費用が抑えられます。手術の回数が減ると、手術のための消耗品費や技術料も減るためです。
手術の回数が減り、通院の回数が少なくなれば、自然と治療費用も抑えられるため患者様の負担になりません。
関連記事:インプラント治療の費用相場は?
違い2:治療の流れ
一回法と二回法では治療の流れにも違いが現れます。
大まかな流れは最初に解説しました。しかし一回法と二回法ではどのように違うのか、さらに詳しく解説します。
一回法の治療の流れ
【流れ】
- 歯肉を切開する
- ドリルで顎の骨に穴を開ける
- フィクスチャーを挿入する
- 蓋を装着する
- 1週間後から1か月後にアバットメントを装着する
- 1~2週間後に上部構造を装着する
一回法では最初の手術で歯肉の縫合などは行いません。最初の手術で歯肉を切開した後、そのまま蓋を装着することが大きな違いとなります。
二回法と比べて手術の流れがシンプルなので通院回数も少なく、身体への負担も軽減されることが特徴です。
下の項目で解説する人工歯根治療一回法の手術の流れと比較すると、一回法がシンプルであることがおわかりいただけるはずです。
二回法の治療の流れ
【流れ】
- 歯肉を切開する
- ドリルで顎の骨に穴を開ける
- フィクスチャーを挿入する
- 歯肉を縫合する
- 1週間後に抜糸を行う
- 3か月後に歯肉を再切開する
- 蓋を装着する
- 1週間後から1か月後にアバットメントを装着する
- 1~2週間後に上部構造を装着する
人工歯根治療二回法では最初の手術でフィクスチャーを挿入します。その後、歯肉を切開して治癒を待ち、インプラント二次手術にて再切開を行って、蓋を装着する流れです。
1回目の手術の後には抜糸が必要となるため、一回法に比べると通院の回数も増えます。
また手術を受けることは、患者様にとって精神的な負担となるものです。
二回法では「手術を受けなければならない」とのストレスも大きくなるでしょう。
関連記事:インプラントの術後、抜糸までの期間や注意するべきポイントは?
一回法のメリット・デメリット
インプラント一回法は二回法と比べて、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。どちらを選ぶべきか迷っているなら、それぞれの長所と短所を比較した上で医師と相談をしてください。
一回法のメリット
【メリット】
- 身体的な負担を軽くできる
- 治療期間が短い
- 費用を抑えられる
- 耐久性が高い
手術回数が1回分減るため、身体的な負担が軽くなります。また治療期間が短縮化され、その分費用が抑えられることも大きな長所でしょう。
また人工歯根治療一回法では下部構造が一体化されるためスクリューが少ないことから緩みが起こりにくくなります。そのため耐久性が高まるとの報告があることも長所のひとつです[2]。
一回法のデメリット
【デメリット】
- 一回法で治療できないケースがある
- 感染リスク
一回法では適用外となる症例があることが短所となります。骨が薄い場合、弱い場合、そして歯肉が少ない場合は一回法を選択できないことがあるためです。
またインプラント一回法は二回法に比べて、感染リスクが高いとされています。しかし二回法であっても感染リスクはあるため、完全な短所とはいえないでしょう[1]。
二回法のメリット・デメリット
それでは続いて、一回法と比べたときの二回法の長所と短所について見ていきましょう。
二回法のメリット
【メリット】
- 顎や歯茎の骨が少なくても治療できる
- 感染リスクが低い
二回法では症例を問わずに人工歯根治療を行いやすいとの長所があります。たとえば骨造成が必要な場合、歯肉が少ない場合でも二回法であれば治療可能であることがほとんどです。
また一回法に比べて感染リスクが低いとされていることも長所となります。
二回法のデメリット
【デメリット】
- 身体的負担が大きい
- 費用が高い
- 治療期間が長くなる
切開手術が2回必要となる二回法では、患者様の身体に大きな負担がかかりやすいことが短所です。
また費用の高さや治療期間の長さも、負担と感じられることが多いでしょう。手術の回数が多くなる分、治療が長引いたり侵襲性が高くなったりすることが短所となります。
関連記事:インプラント治療の期間や通院回数、完了までの流れは?歯のない期間はどうする?
インプラント一回法は二回法よりも負担が少ない手術法
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、インプラント一回法と二回法の違いがご理解いただけたと思います。
人工歯根一回法は二回法に比べて、身体面・金銭面での負担に加えて、通院の負担も軽減させられる手術法です。
[1]竹本和代ほか著. 「良い歯科インプラント治療医」を選ぶ!, 朝日新聞出版 2013年; 48-51
[2]参照:JSTAGE:(PDF)長期経過の単独植立症例における調査
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