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奥歯のインプラントは難しい? 理由とメリット・デメリットを解説

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奥歯のインプラントは難しい? 理由とメリット・デメリットを解説

インプラント治療でオールオン4を検討されている方に向けて、トラブル・失敗について解説いたします。

インプラント治療は外科手術が必要な、歯科治療の中でも大掛かりなものです。「失敗しないのか?」「術後にトラブルが起きるのでは…」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、オールオン4で起こり得る5つの失敗と、トラブルを防ぐための注意点について解説します。参考にしていただければ、きっと満足のいく治療結果を得られるはずです。

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奥歯のインプラントが難しい4つの理由

奥歯のインプラントが難しい4つの理由

奥歯のインプラント治療が難しいとされる理由は主に次の通りです。

  • 入念なかみ合わせ調整が必要になるため
  • 手術器具を入れるスペースが狭いため
  • 角化歯肉が少ない部分があるため
  • 必要な骨の厚みを満たさないことがあるため

入念なかみ合わせ調整が必要になるため

奥歯にインプラント治療を施す際は、入念なかみ合わせ調整が必要です。

奥歯には、かみ合わせの高さを決める重要な役割があります。また、奥歯はかみ合わせの力が強く、一般的にかんだ際に奥歯にかかる力は約60~70kgとされています。

そのため、かみ合わせ調整に不備があると、顎の痛みや人工歯根の破損につながる場合があるのです。

手術器具を入れるスペースが狭いため

口を開くと、奥になるほど上下のスペースが狭くなります。インプラント手術はさまざまな手術器具を用いて行うため、大きく口が開かない場合、奥歯のインプラント手術ができないことがあります。

特にインプラント手術でサージカルガイド(マウスピース型の装置)を使用するケースでは、より広いスペースが必要です。

角化歯肉が少ない部分があるため

インプラントを安全に埋め込むためには、硬い歯茎である角化歯肉が2mmは必要とされています。角化歯肉が少ないと、インプラントを埋め込んでもインプラント周囲炎になるリスクが高まるとされているためです。

しかし、奥歯の中でも、親知らずの一つ前にある第二大臼歯周囲は、角化歯肉が少ない部分です。角化歯肉の量がインプラント手術の基準を満たさない場合は、歯肉移植が必要となります。ただし、口の奥に位置するため、歯肉移植そのものが困難なケースもあります。

必要な骨の厚みを満たさないことがあるため

インプラント手術には上顎、下顎の骨に一定の厚みが必要です。しかし、上顎の奥歯の上には上顎洞という空洞があり、上顎洞の大きさによってはインプラントに必要な骨の厚みが不足することがあります。ソケットリフトやサイナスリフトという特殊な方法を用いて対応は可能ですが、治療を提供できる歯科医院は限られるでしょう。

また下顎の奥歯の下には歯槽神経が走っており、万が一神経を傷つけてしまうと、下唇や顎周辺の感覚まひにつながる恐れがあります。下歯槽神経を傷つけないためには、レントゲン検査やCT検査で神経の位置などを正確に把握した上で、状況に応じてショートインプラントの導入や骨移植などの手術が必要です。

このように、骨や神経の状態によっては高度な技術が求められる点が、奥歯のインプラントは難しいとされる理由の一つです。

奥歯のインプラント治療を受けるメリット

奥歯のインプラント治療を受けるメリット

奥歯のインプラント治療は難しいとされる一方で、治療を受けることに次のようなメリットが期待できます。

  • 周囲の歯の負担を軽減できる
  • 食事を楽しめる
  • 自然な見た目になる
  • 顎の骨の萎縮を防止できる
  • かみ合わせが改善される
  • 発音が良くなる

独立して固定できるため他の歯の負担を軽減できる

周囲の歯の負担を軽減できる点が、奥歯のインプラント治療のメリットです。奥歯を失った場合の治療法として、インプラントの他にブリッジや入れ歯を用いる方法があります。しかし、ブリッジや入れ歯は周りの歯を支えにするため、周囲の歯に負担がかかりやすいというデメリットがあります。

一方、インプラント治療は歯茎に直接インプラントを埋め込み固定する方法であるため、より周囲の歯への負担を抑えながら治療できるでしょう。

食事を楽しめる

インプラント治療を行えば天然歯のように硬い物もかめるようになるため、より食事を楽しめるようになります。一方、入れ歯やブリッジは失った歯は取り戻せますが、かむ力までは以前のようには戻りません。

インプラントによって食生活が改善すれば、次のようなメリットにもつながります。

  • 消化器への負担を軽減できる
  • 栄養バランスを改善できる

消化器への負担を軽減できる

インプラントによってしっかりとかめるようになれば、唾液の分泌量が増えます。唾液には消化を助ける酵素であるアミラーゼが含まれているため、よくかむことが消化器への負担軽減につながります。食べ物をしっかりとかんで、細かくできることも消化器への負担を軽減できる理由です。

栄養バランスを改善できる

インプラントによって奥歯を取り戻すと、硬い野菜や肉もかめるようになるため、栄養バランスの改善につながります。例えば、ごぼうやレンコンといった硬い野菜を食べられるようになると、食事から取り入れられる食物繊維も増えるでしょう。

自然な見た目になる

奥歯に限らず、インプラントは他の治療法よりも自然な見た目になるというメリットがあります。ブリッジや入れ歯はパーツが目立ちやすいため、周囲の目が気になるという人もいるでしょう。一方、インプラントであれば、歯根が歯肉に埋め込まれるため自然な見た目になります。特に、犬歯に並ぶ第一、第二小臼歯は奥歯の中でも人目につきやすい箇所です。インプラント治療を行うことで、口を開けた際にも目立ちにくくなるでしょう。

顎の骨の萎縮を防止できる

顎の骨の萎縮を防止できるのも、奥歯にインプラント治療を施すメリットです。

一般的に、歯を失ったまま放置すると、顎の骨が使われずに痩せていき、顔のたるみなどの変化につながります。入れ歯やブリッジと比較して、インプラントは骨にしっかりと刺激を与えられるため、骨の萎縮を防ぐ効果も期待できます。

かみ合わせが改善される

奥歯にインプラント治療を施すことで、かみ合わせの改善が期待できます。奥歯がない状態や入れ歯をした状態が長く続くと、かみ合わせが悪化し、残った歯に負担がかかることがあるため、注意が必要です。

発音が良くなる

奥歯にインプラントを入れると、発音が改善されるメリットもあります。発音は通常前歯の影響が大きいとされますが、奥歯が欠けても隙間から空気が漏れて多少影響を受けます。発音が悪いとコミュニケーションにストレスを感じる場合もありますが、インプラント治療により奥歯の隙間を埋めて発音を改善することも可能です。

奥歯のインプラント治療を受けるデメリット

奥歯のインプラント治療を受けるデメリット

奥歯のインプラント治療を受ける際は、メリットだけではなく次のようなデメリットがあることも把握しておきましょう。

  • 骨造成手術が必要になる可能性がある
  • 保険が適用されない
  • 治療期間が長引く可能性がある
  • インプラント周囲炎のリスクがある

骨造成手術が必要になる可能性がある

奥歯のインプラント治療を受ける場合、骨を増やすための骨造成手術が必要になる可能性があります。

インプラント治療を成功させるためには、インプラントと結合するだけの骨の質、量が必要です。骨の質や量によってはインプラントが結合しないため、骨造成手術を行った上でインプラント治療を行う必要があります。

骨造成手術は難易度の高い手術であり、対応している歯科医院が限られている、追加で費用がかかるといったデメリットを伴います。

保険が適用されない

奥歯に限らず、原則としてインプラント治療は保険適用外となるため、治療にかかる費用は全額自己負担です。

どの部分をどのように治療するかなど、治療内容によって負担額は変動します。いずれのケースであっても、インプラントは入れ歯やブリッジよりも費用はかかるため、費用を抑えたいと考えているのであれば別の方法の検討も必要です。

治療期間が長引く可能性がある

インプラント治療ではインプラントと骨が結合するのを待つ必要があるため、状況によっては治療期間が長引くことを覚えておきましょう。結合に時間がかかる場合、治療期間が約1年に及ぶケースもあります。

そのため、もしすぐに治療を終えたいと考えているであれば、入れ歯やブリッジがおすすめです。入れ歯やブリッジであれば、早くて1カ月ほどで治療が完了します。

インプラント周囲炎のリスクがある

奥歯に限らず、一般的にインプラント手術はインプラント周囲炎のリスクを伴います。インプラント周囲炎が進行すると、インプラントの脱落や他の歯への悪影響につながります。インプラント周囲炎を予防するためには、丁寧なセルフケアと定期的な通院を心掛け、気になることがあれば早めに医師に相談しましょう。

奥歯のインプラント治療を受ける際の注意点

奥歯のインプラント治療を受ける際の注意点

奥歯のインプラント治療を受ける際は次のような点に注意しましょう。

  • 歯科用CTの使用有無を確認する
  • インプラントの実績を確認する
  • 喫煙や持病について相談する
  • 定期的なメンテナンスを受ける

歯科用CTの使用有無を確認する

奥歯のインプラント治療を受ける場合、歯科用CTを使用して事前に検査を実施しているかを確認しましょう。

歯科用CTは、医療用CTの数倍もの情報を撮影できるといわれています。歯科用CTなら神経がどこを通っているか、血管がどこを流れているかを把握できるため、下歯槽神経を傷つけるといったリスクを回避しやすくなるでしょう。

機種や撮影範囲にもよりますが、一般の医療用CTと比べて被曝量や撮影にかかる時間が少ない点もメリットです。

インプラントの実績を確認する

奥歯のインプラント治療を受けるのであれば、歯科医院の実績を確認しておきましょう。実績が豊富な歯科医院であれば、幅広い症例を経験しているため、一定以上の技術力が期待できます。

格安のインプラント治療は避ける

歯科医院の実績を確認する際は、併せてどれだけの費用がかかるのか、概算もチェックしてみましょう。相場よりも格安でインプラント治療を提供している場合は注意が必要です。

インプラント治療を格安で提供している歯科医院では、品質の低いインプラントを使用している可能性があります。格安のインプラントは無料保証期間が短く設定されていることがあり、かえって修理費用がかさむ場合があります。十分に比較検討した上で判断しましょう。

喫煙の習慣や持病について相談する

インプラント治療を受けるには喫煙の習慣や持病について、歯科医師に相談しておく必要があります。

喫煙は骨の結合を阻害したり、インプラント周囲炎の原因になったりと、インプラントと相性がよくありません。歯科医師と喫煙について相談して、必要に応じて禁煙に取り組みましょう。

また次のような持病を持っている場合、インプラント治療が受けられない可能性があるため注意が必要です。

  • 骨粗鬆症
  • 糖尿病や高血圧
  • 腎疾患で血液透析を受けている
  • 虫歯や歯周病

定期的なメンテナンスを受ける

定期的なメンテナンスを受ける

奥歯に限らず、インプラントには手術後の定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎のリスクが高まり、インプラントの欠落につながる恐れがあります。

一般的に、歯科医院では次のようなメンテナンスを行います。

  • 口内のチェック
  • 歯磨き指導
  • レントゲン検査
  • クリーニング

口内のチェック

インプラントのメンテナンスは口内のチェックが欠かせません。インプラントの寿命を延ばすには、インプラントはもちろん、口の中をきれいな状態で保つ必要があります。残存歯に虫歯や歯周病がないか、インプラントはグラついていないかなどを確認して、メンテナンスを施します。

歯磨き指導

インプラントを長く使い続けるためには、日頃から自宅で歯磨きが必要です。

歯磨きの方法は人それぞれに癖があり、磨けている場所もあれば、磨けていない場所もあります。

歯科医院では、それぞれの人が磨き残しやすい部位をチェックして、適切な磨き方をフィードバックしてくれます。

レントゲン検査

レントゲン検査の主な目的は、インプラントを埋め込んだ顎の骨や周囲の骨に異常がないかを確認することです。上の奥歯にインプラント治療を施した場合は、上顎洞炎が起きていないかも確認します。上顎洞炎とは、上の奥歯の上部にある鼻腔の空洞に生じる炎症のことです。

クリーニング

歯科医院では歯磨きの指導だけではなく、実際のクリーニングにも対応しています。歯科医院では専用の器具や薬剤を用いてクリーニングを実施できるため、セルフケアよりも高い効果が期待できるでしょう。

歯科医院でできるクリーニングの代表が、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)です。PMTCは、専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使って、歯磨きでは落とし切れない歯石やプラークを流します。

奥歯のインプラント治療の術後の注意点

奥歯のインプラント治療の術後の注意点

奥歯のインプラント治療の手術を受けた後は次のような点に注意しましょう。

  • 食べ物・飲み物に注意する
  • 運動と入浴は控える
  • 丁寧に歯磨きをする
  • 睡眠を取り体を休める
  • 飲酒と喫煙は控える
  • 適切に薬を飲む

食べ物・飲み物に注意する

奥歯のインプラント治療を受ければ、硬い物も食べられるようになります。しかし、術後すぐは食べ物に注意しましょう。傷口を傷めないよう、手術当日はおかゆやスープ、ゼリーなど、強くかまなくても食べられる食事を心掛けましょう。

さらに、刺激物の摂取にも注意が必要です。刺激物は患部の痛みや出血の原因になりかねないため、しばらくは避けた方が無難です。

運動と入浴は控える

運動と入浴も奥歯のインプラント手術後は注意が必要です。血行が促進されると、患部が出血しやすくなります。血行が良くなったことで痛みを感じやすくなるため、術後1週間ほどは激しい運動は避けましょう。また軽いウォーキングであっても、術後2〜3日は避けるのがポイントです。

運動だけではなく、入浴も血行を促進し、患部の痛みや出血につながりかねません。体を暖めると血行を促進させるため、手術当日から数日はお湯に漬からずに、シャワーのみで済ませましょう。

丁寧に歯磨きをする

インプラント手術後の歯磨きは、傷口に触れるため治りにくくなったり、傷口が開いたりします。そのため、抜歯するまでの期間、患部を磨くのは控えましょう。

口腔内が汚いと、健康な歯が虫歯や歯周病になりかねません。虫歯や歯周病になると、インプラントが抜け落ちる恐れがあるため、患部以外は歯磨きをして衛生状態を保つ必要があります。

マウスウォッシュも口腔内をきれいな状態に保つために有効です。マウスウォッシュは使用する際は強くうがいせず、患部に配慮しましょう。

睡眠を取り体を休める

睡眠はインプラント手術後の回復を早めるのに有効です。インプラント手術は体力を使うため、しっかりと睡眠を取って体を休めて、疲れを癒しましょう。

飲酒と喫煙は控える

飲酒はインプラントに悪影響を及ぼします。飲酒は血行が良くなるため、痛みや出血の原因になってしまいます。飲酒習慣がある人は、術後1週間を目標に禁酒を心掛けましょう。

飲酒と同じく、喫煙もインプラントに悪影響を及ぼす要因です。喫煙によって歯肉の血管が収縮し、血流が低下してしまいます。その結果、歯肉の状態が悪化してしまいます。歯肉の状態が悪化すると、患部の治癒が遅れインプラント周囲炎につながりかねません。

適切に薬を飲む

奥歯のインプラント手術の後には、鎮痛剤や抗菌剤が処方されます。術後は痛みや腫れが生じるため、処方薬を適切に服用して対処しましょう。安静にして、指示に従って薬を服用すれば、痛みや腫れが悪化することはまれです。

腫れや痛みが治まってくると服用を止めてしまう人もいますが、処方された抗菌剤は最後まで服用しましょう。

なお、患部の腫れがひどい場合は、患部を冷やすことも効果的です。例えば、濡らしたタオルや冷却シートで頬を冷やすことで、腫れを抑えられる可能性があります。つい傷口が気になって舌や指で触ろうとする人もいますが、術後は傷口が開きやすくなっているため、刺激は控えましょう。

腫れが1週間以上続いている、強い痛みや出血が引かないという場合は、自己判断せずにすぐ歯科医師に相談しましょう。

奥歯のインプラントは経験豊富な歯科医師に相談しよう

奥歯のインプラントは入念なかみ合わせ調整が必要になる、スペースが不足するなど、さまざまな理由で手術が難しいとされています。ただし、インプラント手術を受けることで、消化器への負担を軽減できる、周囲の歯の負担を軽減できるなどのメリットが期待できます。

手術が難しいとされている奥歯のインプラントは、経験豊富な歯科医師への依頼がおすすめです。奥歯のインプラントを検討している方は、ぜひあきもと歯科にご相談ください。あきもと歯科では国際口腔インプラント学会に所属している経験豊富な医師が施術に対応しています。奥歯のインプラントをしたいけど迷っているという方は、ぜひご検討ください。

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