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喫煙がインプラントに及ぼすリスクとは?

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喫煙がインプラントに及ぼすリスクとは?

タバコは百害あって一利なしと言われることもありますが、これはインプラントに対しても同様です。ですが、喫煙習慣がある方は「インプラントに興味はあるけれど、できればタバコをやめたくない」と考えているのではないでしょうか。
そこで、具体的に喫煙がインプラントに対してどのような影響を与えるのかについて解説します。

この記事を読むことによって喫煙がインプラントに与えるリスクなどがわかるので、参考にしてみてください。

喫煙がインプラントに与える影響

喫煙は、さまざまな理由によってインプラントに悪影響を与えます。代表的な影響は以下の6つです。

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ニコチンにより血流が阻害される

タバコに含まれているニコチンには、血管を収縮させる働きがあります。すると、血流が阻害され、インプラントを支えている歯肉に酸素や栄養といったものがうまく供給されない状態になります。

結果として傷口が治るのが遅くなるだけではなく、インプラントと骨がうまく結合しない状態を招いてしまうケースも多いです。

一酸化炭素により酸素供給が阻害される

喫煙によって発生する一酸化炭素も、ニコチンと同様に血流を阻害します。
これは、一酸化炭素が血液中にあるヘモグロビンと結合してしまうからです。ヘモグロビンは酸素を運ぶ重要な役割を持っているので、正しく働けなくなると、酸素の供給量が減ってしまいます。

健康康な身体でいるためには、血液に乗って多くの酸素や栄養が全身をめぐる状態にしなければなりません。タバコは、これを邪魔してしまいます。

白血球の活動が抑制される

体内において、細菌と戦って体を守る役割を持っているのが、白血球です。白血球が活発に働いているからこそ、健康が守られます。

ですが、タバコに含まれているニコチンには白血球の機能を低下させてしまう働きがあります。白血球が弱まっている状態で歯肉部分にバクテリアなどが入り込むと、炎症が進行しやすいので注意しなければなりません。

このことから、喫煙者はタバコを吸っていない方に比べて炎症が悪化しやすく、インプラントの状態が悪くなりやすいです。

細胞増殖が抑制される

インプラント治療後は、細胞を増殖させ、外科手術によって傷ついた歯肉を回復させていく必要があります。ですが、タバコには歯肉を回復させるのに必要な細胞の増殖を妨げてしまう働きがあり、回復に時間がかかってしまう場合が多いです。

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唾液が減少する

唾液は口内を乾燥から守り、細菌の繁殖を抑える役割があります。それだけではなく、タバコに含まれている有害物質を中和する重要なものです。
ですが、ニコチンが持つ血管収縮作用と一酸化炭素の血液の酸素運搬能の阻害作用は、血流の悪化だけではなく、唾液の分泌量も低下させます。

唾液が減った口内では細菌が繁殖しやすい環境が整ってしまうため、虫歯などのリスクが高まります。さらに、インプラントを失う大きな原因となるインプラント周囲炎のリスクも高まるため、十分注意しなければなりません。

免疫力が低下する

健康な体を目指すためには、免疫力を高めておくことが欠かせません。タバコに含まれているニコチンなどの有害物質には、免疫力に対し、悪影響があります。
インプラント治療後は、歯周病やインプラント周囲炎といった細菌感染症には十分注意しなければなりません。

ですが、免疫力が落ちてしまうと細菌感染症のリスクが高まります。免疫力はストレスなどによっても低下するものなので、タバコに加えてストレスでも免疫力が落ちてしまうと、短期間で状態が悪化してしまう可能性も高いです。
また、免疫力が落ちていると、治療をしても改善しにくくなります。

参考:(PDF)日本歯科医師会:歯医者さんから始まる禁煙への道[PDF]

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喫煙によるインプラントのリスク

喫煙している方は、喫煙していない方と比較してインプラント治療におけるリスクが高まります。特に注意しなければならないのが、手術の失敗リスクが高まることと、インプラント周囲炎になりやすい問題です。それぞれ解説します。

手術が失敗する可能性が高まる

インプラントはインプラント体を顎の骨に埋入し、そこに人工歯を設置する治療法です。インプラント体にはチタンと呼ばれる骨と結合する特徴を持った金属が使われており、しっかりと骨と結合してこそインプラント治療は成功したといえます。
ですが、タバコに含まれているニコチンは骨の代謝を妨げてしまい、インプラント体と骨の結合を阻害してしまうことがあります。結果としてインプラントが定着しなければ、抜け落ちてしまうこともあるでしょう。

また、ニコチンが持つ血管収縮作用が原因で傷口を直すために必要な酸素や栄養素が運ばれなければ、傷口がなかなか治りません。その間にインプラントの状態が悪化し、同じく抜け落ちてしまう可能性もあります。

実際に喫煙者のインプラント失敗率は高いです。例えば、喫煙の歯周組織に対する影響について調べた報告があります。
インプラントの生存率・合併症での報告において非喫煙者の失敗率は2%だったのに対し、喫煙者の失敗率は4%と、2倍にもなりました。また、合併症発生率についても非喫煙者は31%、喫煙者は46%と高い数字となっています。

特に上顎の治療について比較したところ、非喫煙者と比較して2倍の失敗、または合併症が報告される結果となりました。

参考:(PDF)日本歯周病学会:喫煙の歯周組織に対する影響[PDF]

また、ラットを使った実験でも同様の報告がされています。ラットにニコチンを投与して行われた実験では、インプラントを埋入した初期では通常の骨形成が認められました。ですが、その後チタンと骨が直接結合する段階でタンパク質など骨芽細胞分化に関わる成分の発現が低下し、治癒に影響しました。
結果としてインプラントが骨とうまく結合しないため、インプラントの状態を維持するのは難しいとの報告がされています。

参考:(PDF)国立研究開発法人 科学技術振興機構:インプラント周囲炎に関連する全身的リスクファクター[PDF]

周囲炎になる可能性が高まる

インプラント治療を受けた後、特に注意しておかなければならないのが、インプラント周囲炎と呼ばれるトラブルです。インプラント周囲炎とは、インプラントの周りにある組織が炎症を起こしてしまい、骨が溶ける症状です。
初期症状がほとんどないため悪化していても気付くのが遅れてしまい、さらに重症化した場合はインプラントが抜け落ちてしまいます。

喫煙者はニコチンなどによって免疫力が低下している関係もあり、細菌感染症にかかりやすいです。その結果、周囲炎になるリスクが高まり、インプラント治療が失敗しやすくなります。

インプラント周囲炎のリスクを下げるためには、普段からセルフケアに力を入れることが重要です。加えて、定期的に歯科医院で検査を受け、症状にいち早く気づき、早期の治療に取り組んで行かなければなりません。
喫煙者は非喫煙者と比較してインプラント周囲炎のリスクが高いこと、症状が悪化しやすいことなどをよく理解し、定期健診を欠かさないようにしましょう。

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できれば禁煙するのが理想

いかがだったでしょうか。喫煙がインプラントに対してどういった影響を与えるのかなどについて解説しました。さまざまなリスクがあるので、できることならば禁煙に取り組み、難しい場合は本数を減らすことについても検討してみてください。

他にもインプラント治療の受けるにあたりわからないことや不安なことがあれば、あきもと歯科で詳しく紹介しています。カウンセリングに力を入れているので、お気軽にご相談ください。

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