トップ画像

Column

インプラントのデメリット・メリットと手術を受ける際の注意事項

公開日:

インプラントのデメリット・メリットと手術を受ける際の注意事項

インプラント治療を受けたいと考えている方に向けて、デメリットとメリットについてご紹介します。

インプラント治療についてインターネットで検索すると、メリットについての解説が目立つことでしょう。しかしインプラントにはデメリットもあります。

そこで今回の記事では、インプラント治療における5つのデメリットと、11のメリットの両方をご紹介します。インプラント治療を受けるべきかどうか、判断するための材料となるはずです。

インプラントのメリット

それではさっそく、インプラントにおけるメリットについてご紹介していきます。

関連記事:インプラントとは?概要・メリットデメリット・リスクなどの基礎知識

メリット1:自分の歯で噛む感覚がある

インプラント治療を受けて大きなメリットだと感じられやすいのは、自分の歯で噛む感覚があることです。

インプラントは歯肉の下から生えている天然歯に近い感覚で使用できます。まるでご自身の歯のように噛む感覚が得られるため違和感がなく、今まで通りに食事を楽しみやすくなるでしょう。

メリット2:見た目がきれい(審美)

見た目が美しく天然歯に近いのも、インプラントの大きな魅力のひとつです。インプラントでは、見た目が天然歯に近いとされる素材であるセラミックをかぶせます。

入れ歯やブリッジでは周囲の歯に引っ掛ける針金やバネが見えてしまい、笑ったときや食事のときなどに、周囲の人から違和感を抱かれます。見た目の美しさを重視する方にとって、インプラントはメリットが大きい治療法だと感じられるはずです。

メリット3:健康な歯を削らなくて済む

健康な歯を削らなくて済むこともインプラントのメリットと言えます。ブリッジでは装着するために、周囲の歯に針金をかけます。針金をかける際には、周囲の健康な歯も削らなければなりません。

その点、インプラントは装着の際に周囲の歯に依存せず、顎の骨に直接埋め込みます。そのため健康な歯を削らなくて済み、ご自身の歯をより多く残せる結果となります。

メリット4:健康に良い影響を与える

インプラントは全身の健康にも良い影響を与えることをご存じでしょうか?かみ合わせがよいと肩こりや腰痛、頭痛などが引き起こされにくくなります。またかみ合わせを治療したことで聴力が改善された[1]、噛みしめ方が強くなるほど姿勢が安定した[2]などの報告もありました。歯並びが悪いと自己評価がネガティブになりやすいとも報告されています[3]。

以上のようにかみ合わせは心身に影響をおよぼすものです。全身の健康を維持するには、入れ歯やブリッジなどよりもインプラントを選ぶべきではないでしょうか。

メリット5:骨がやせるのを防ぐ

続いてご紹介するインプラントのメリットは、骨がやせるのを防げることです。顎の骨にしっかりと固定されるインプラントでは、咀嚼の力が骨に加わります。しかし影響を受けるのは顎や口周りの骨だけではありません。頭蓋骨など、顔全体の骨を強く保つために効果的です。

骨の形は咀嚼のやり方によって、成人以降でも変化するとされます。天然歯と同じように噛めるインプラントであれば、骨の痩せによって頭や顔の形が変わってしまうことを防げるでしょう。

メリット6:発音をよくすることができる

インプラントを装着するメリットは発音でも感じられるはずです。入れ歯にすると前歯の位置がずれたり、舌を動かすためのスペースが少なくなったりします。

インプラントでも慣れるまでは発音がしにくいことはあります。しかしインプラントなら舌の動きが邪魔されることがほとんどありません。したがってインプラントは入れ歯よりも発音に支障がでにくいと考えられるでしょう。

メリット7:取り外す面倒がない

取り外す面倒がないこともインプラントのメリットです。インプラントのケアは、天然歯のように歯ブラシで行なえます。入れ歯であれば毎日取り外して、洗浄液などに浸すケアが必要です。

毎日使用するにつれ、取り外す面倒がないことが大きなメリットであると気づけるはずです。

メリット8:虫歯にならない

インプラントは天然歯と違い、虫歯になりません。虫歯は歯の隙間に溜まった歯垢の中で原因菌が増殖して、酸をつくりだすことに由来します。原因菌がつくりだした酸は天然歯のエナメル質や象牙質を溶かし、穴をつくりだすため虫歯になるのです。

しかしインプラントの素材にはエナメル質や象牙質などはありません。同じく入れ歯やブリッジにもエナメル質や象牙質はないので、虫歯にならない点では同じです。しかしブリッジは装着したままの歯みがきが難しく、周辺の歯が虫歯になりやすいと言われています。入れ歯も虫歯の原因菌が繁殖しやすい環境をつくりだすため、部分入れ歯では周辺の歯が虫歯になることもあるでしょう。

その点インプラントは天然歯と同じようにケアができるので、周辺の歯も虫歯になりにくいメリットがあります。

メリット9:あごの骨が弱くなりにくい

インプラントは入れ歯やブリッジに比べて、顎の骨が弱くなりにくい義歯です。顎の骨は咀嚼の刺激をさらにダイレクトに受けて発達します。刺激を受けた骨は骨芽細胞を増加させ、骨芽細胞が分化しやすくなるためです[4]。

骨は使わなければやせていきます。なぜなら骨は、かけられる負荷に対して耐えられる強度を保とうとして成長するからです[4]。インプラントを装着すると、他の義歯に比べて顎の骨が弱くなりにくいとのメリットがあります。

メリット10:かみ合わせのバランスが取れる

インプラントをすることにより、かみ合わせのバランスが取れるようになることもあります。なぜならインプラントは、骨が十分に残っていなければ治療が難しくなるためです。

そのため治療時に骨の量が足りない場合は、骨を再生させたり、増やしたりする治療を同時に行うことがあります。理想的な骨の量にしてからインプラントを埋入するため、理想的なかみ合わせとなることも少なくありません。

メリット11:痛みを感じにくい

インプラント治療における最後のメリットとしてご紹介するのは、痛みを感じにくいことです。痛みが強いのではと治療を迷っている方もいるかもしれません。しかし手術中は局所麻酔や静脈内鎮静法により、ほとんど痛みを感じないように処置をします。

手術後は自宅で服用できる痛み止めも処方しますので、治療における痛みを感じにくいこともインプラント治療のメリットと言えるでしょう。

関連記事:インプラントの骨造成手術における3つの術式とメリット・デメリット

関連記事:前歯をインプラントにするメリット・デメリットと費用相場

関連記事:オールオン4のメリットデメリット・費用など知っておきたい基礎知識

インプラントのデメリット

それでは続いて、インプラントのデメリットも解説していきます。

デメリット1:費用が高い

インプラントは他の義歯を装着する治療に比べて、費用が高いことがデメリットとなります。全国的な治療費用の平均は、1本あたり328,000~399,000円です[5]。入れ歯やブリッジと違い、保険適用対象外の治療であるため高額となります。

しかし治療費が10万円もしくは所得の5%を超えた場合は、医療費控除により所得税の還付を受けられます[6]。またデンタルローンにて1回分の支払い負担軽減も可能なので、支払いが難しくなることはないはずです。

関連記事:インプラント治療の費用相場は?

デメリット2:治療に期間がかかる

治療に期間がかかることもインプラントのデメリットとなります。治療にかかる期間は、平均で3~6か月です。口腔内の状態や症例によりますが、入れ歯やブリッジに比べると治療期間が長くなる傾向にあります。

お仕事が忙しかったり、通院のための時間を割けない方にとっては負担となる可能性があるでしょう。

デメリット3:麻酔を使用した手術が必要

インプラントのデメリットとてして、麻酔を使用した手術が必要であることがあげられます。手術では局所麻酔や静脈内鎮静法などで痛みを緩和します。しかし外科手術を行うにあたって、身体への負担は避けられません。

高齢の方や全身性の疾患がある方など、体力的に手術が難しい方は、インプラント治療を受けられないこともあります。

デメリット4:治療後に定期的なメンテナンスが必要

人によっては治療後の定期的なメンテナンスがインプラントのデメリットだと感じられることもあるでしょう。治療後はメンテナンスを受けなければ、インプラント周囲炎にかかる可能性が高まります。またインプラントの保証を受けるために「定期メンテナンスを受けていること」が条件とされていることも少なくありません。

歯科医院から指定された日程で頻繁にメンテナンスを受ける必要があるため、通院回数が多くなり、時間的な制約が生じます。

デメリット5:感染症にかかる可能性もある

インプラント治療では、手術中に感染症にかかる可能性も否定できません。歯肉を切開する外科治療なので、手術中や手術後に、傷口へと細菌が侵入することがあります。

細菌感染が起こるとインプラント周囲炎になり、インプラントが脱落してしまうこと考えられます。

インプラント治療を行う際の注意点

インプラント治療を受ける際には、次のようなポイントに注意してください。

【注意点】

  • リラックスできる服装で手術を受けること
  • マニキュアやネイルは控えること
  • 丁寧に歯みがきをすること
  • ひげを剃ってから手術を受けること
  • 術後に腫れがある場合は冷えたタオルをあてること
  • 術後は入浴・運動などは控えること
  • 術後の歯みがきやうがいは刺激にならないようにすること

メリット・デメリットを把握したうえでインプラント治療の決断を

いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、インプラント治療におけるデメリットとメリットがご理解いただけたと思います。

インプラント治療は入れ歯やブリッジに比べてメリットが多い治療法です。しかしインプラント治療にもデメリットはあります。両方を把握したうえで、治療を受けるかどうかの決断をしてください。

[1]参照:JSTAGE:(PDF)咬合と全身の機能との関係

[2]参照:JSTAGE:(PDF)咬合接触状態が安定域と重心同様に及ぼす影響

[3]参照:JSTAGE:(PDF)歯列・咬合異常が高校生の心身の健康意識に及ぼす影響

[4]参照:日本医療研究開発機構:噛む力が顎の骨を造り変える分子メカニズムを解明―顎の形や大きさの不調和に対する新しい歯科矯正治療法の開発に期待―

[5]竹本和代ほか著. 週刊朝日MOOK「いい歯科インプラント治療医」を選ぶ!2013. 朝日新聞出版 2013; 188

[6]参照:国税庁:No.1120?医療費を支払ったとき(医療費控除)

コラム一覧に戻る

インプラントについてのご相談はこちら