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インプラントできない人は、どのようなケースがあるか?
「美しい歯を手に入れたい」「自分の歯と同じように食事を楽しみたい」「毎日の入れ歯の手入れが面倒」「自分の歯を削りたくない」など、さまざまな理由からインプラント治療を希望される方がいらっしゃいます。
「多少治療費が高額になってもインプラントをしたい!」そう考えていても、実は人によってはインプラントができないケースもあるのです。
そこで今回は、インプラントができない人のケースや、その対処法についてご紹介します。
目次
インプラント治療は誰にでもできるわけではない
歯を失った方たちにとって、今やインプラント治療はポピュラーな治療法のひとつとなりました。
インプラント治療はどうしても治療費が保険診療よりも高額になってしまう傾向がありますが、治療後の快適さを考えると決して高すぎる治療というわけではありません。そのため、インプラント治療を希望される方は常に増加傾向にあります。
しかし、インプラント治療は、虫歯などの治療とは異なり、大掛かりな手術を伴うため、人によっては治療ができないケースがあり、治療費を払えば誰でもできるというものでもないのです。
それでは、どのような場合にインプラント治療ができないのか?以下の代表的な7つのケースとその主な対処法についてご紹介していきましょう。
- 骨が薄い
- 年齢が低い
- 歯周病や虫歯がある
- 糖尿病を患っている
- 腎疾患があり血液透析を受けている
- 妊娠している
- ヘビースモーカーである
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ケース1:骨が薄い(骨粗鬆症である)
「インプラント=人工の歯を埋め込むもの」であることはほとんどの方がご存知かと思いますが、その人工歯根は、歯ぐきの内側にある骨「歯槽骨」に埋め込むことになります。
地盤の緩い土地に家を建てることが危険であるのと同じように、人工歯根もしっかりとした歯槽骨がなければ埋め込むことができません。仮に歯槽骨が脆い状態で人工歯根を埋め込んだとしても、暫くして抜けてしまったり、折れてしまったりする可能性があるのです。
そのため、インプラント治療を行う場合には、歯槽骨に治療に耐えられるだけの十分な厚みと高さが必要となります。
対処法:骨再生治療を行う
粗鬆症の治療をされている方であれば、骨密度を増やす治療には根気が必要であることはご存知かと思います。しかし、インプラント治療を目的とする場合は骨再生治療を事前に行うことでインプラント治療が可能になるケースが少なくありません。
骨再生治療には、特殊な素材を注入し骨の再生を促す「GBR(骨組織誘導再生法)」や、人工の素材により骨の厚みを補う「ソケットリフト法」「サイナスリフト法」など、さまざまな種類のものがあります。歯槽骨の状態によって最適な治療法も異なりますが、これらの骨再生治療に対応しているクリニックであれば、骨が薄い方でもインプラント治療をできる可能性があります。
ケース2:年齢が低い(主に未成年)
簡単に言うと、インプラント治療では顎の骨に穴をあけることになります。そのため、顎の骨が成長段階であるうちに治療をしてしまうと、治療途中に顎の骨が成長をし、インプラントに不具合を起こしかねません。また、骨の成長にも個人差があり、その成長スピードを歯科医が予測することも困難です。
そのような理由から、基本的には18歳以下や20歳未満といった区切りでインプラント治療を受け付けていないクリニックがほとんどです。
対処法:顎の骨の成長が止まってから治療をする
正確な判断は難しいものの、顎の骨の成長が止まるまでは、入れ歯など別の方法で抜けてしまっている部分の歯を補い、時期を見てインプラント治療を開始することになります。
ケース3:歯周病や虫歯がある
口内に虫歯があったり、重度の歯周病がある場合、インプラント手術の際に口腔内感染を起こし、顎の骨と人工歯根がうまく結合できなくなる可能性があります。また、重度の歯周病がある状態でインプラント治療を行った場合、歯周病菌が原因となり「インプラント周囲炎」というインプラントの周辺組織を破壊する病気にかかってしまう可能性があるのです。
対処法:歯周病や虫歯の治療を先に行う
インプラント治療の前に歯周病や虫歯が確認された場合は、まず先に虫歯や歯周病の治療を行い、炎症などの症状を鎮めてからインプラント治療を行います。また、重度の歯周病により顎の骨が多量に解けてしまっている場合は、骨再生治療を行ってからインプラント治療を行う場合もあります。
ケース4:糖尿病を患っている
糖尿病を患っている場合で、さらに血糖値のコントロールが難しい場合はインプラント治療ができない可能性があります。というのも、糖尿病を患っている方は、免疫力や抵抗力が低下していることが多く、インプラント手術によってできた傷口の回復が遅くなりがちだからです。また、歯周病のリスクも高いため、先にご紹介した「インプラント歯周炎」を発症するリスクも高くなってしまうのです。
対処法:かかりつけ医に相談して検討する
糖尿病を患っている方で、インプラント治療を希望される方は、まずはかかりつけ医に相談をしてみることをおすすめします。もし血糖値のコントロールが可能で、かかりつけ医から問題がないとの診断を受けることができれば、糖尿病を患っていてもインプラント治療は可能でしょう。
ケース5:腎疾患があり血液透析を受けている
インプラントの治療では外科手術を行い、その際には傷ができますし出血も伴うものです。そのため、腎疾患のある方は、免疫力が低下しやすく、傷の回復にも時間がかかる傾向があることからも、基本的にインプラント治療はおすすめできません。
さらに、重度の腎疾患のため人工透析を受けている方は、手術によって細菌が臓器に回ってしまうリスクがあり、骨も脆い方が多い傾向があるため、まずインプラント治療は難しいと考えておいた方が良いでしょう。
対処法:かかりつけ医に相談し別の方法も検討する
腎疾患といっても程度が軽いものであったり、人工透析を受けていないケースであれば、インプラント治療ができる可能性もあります。そのため、インプラント治療を検討するのであれば、まずは先にかかりつけ医に相談をしましょう。また、やはり難しいと判断された場合には、残念ですが別の方法を検討しましょう。
ケース6:妊娠している
インプラント治療は妊娠中に絶対にできないというわけではありません。しかし、インプラント治療では、手術や投薬、レントゲンを行う必要があるため、母子の安全性を考えると妊娠中の治療は避けた方が無難です。また、身体面だけではなく、精神面でも妊娠中は不安定になりがちです。インプラント治療のことで何か精神的な不安を抱えてしまい、お腹の赤ちゃんの成長に万が一のことがあってはなりません。そのため、妊娠中のインプラント治療はあまりおすすめできません。
対処法:できれば産後、体調が落ち着いてから治療をする
妊娠中、歯がないことで不都合が生じる場合は入れ歯などで対応しましょう。そして、産後体調や生活が落ち着いてからインプラント治療を開始することをおすすめします。
どうしても妊娠中にインプラント治療をする必要がある場合は、安定期を過ぎた妊娠5ヶ月頃、まずインプラント体の埋入を行い、産後までは歯とインプラントの固定を待つ期間とし、産後に人工歯を取り付けるといったことも不可能ではありません。
ただ、あえて妊娠中にインプラント治療をする必要がないのであれば産後のタイミングを待ち、妊娠中のインプラント治療を希望する場合は、いずれにせよ担当医にまずは相談をしましょう。
ケース7:ヘビースモーカーである
喫煙者で、さらにいわゆるヘビースモーカーと呼ばれる方は、インプラント治療が難しい可能性があります。というのも、インプラント治療では人工歯根と顎の骨を結合差せる必要があり、そのためには血流が豊富でないといけないためです。一方、喫煙によって発生する一酸化炭素は血流を悪くさせるだけではなく、タバコに含まれるニコチンも血管を収縮させます。そのため、人工歯根と顎の骨がしっかりと結合できなくなる可能性が高まります。
また、喫煙者は歯周病になりやすい傾向にあるため、インプラントの治療後もかなり注意が必要になります。つまり、インプラント治療と喫煙の相性は非常に悪いのです。
対処法:完全禁煙をする
インプラント治療を希望するのであれば、一時的ではなく、完全に、永遠に禁煙をすることが必要です。物理的にはもちろん喫煙者でもインプラント治療は可能ですが、治療後の安全性などを考えると、喫煙者のインプラント治療は現実的ではありません。仮に歯科医が治療可能との診断をした場合であっても、喫煙者である以上リスクを伴うことからは逃れられないのです。
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まとめ「自分は大丈夫かな?」と思ったらまずはご相談を
インプラント治療には多くのメリットがありますが、今回ご紹介したとおり、その時々の体調によっては大きなリスクを伴うケースもあります。
そのため、今回ご紹介した項目に少しでも当てはまることがあったり、「自分は大丈夫かな?」と気になることがある場合は、まずは歯科医に騒動をしてみましょう。
あきもと歯科では、さまざまなニーズに対応したインプラント治療をご提供していおり、最新のCTの導入によりインプラント治療を可能にしています。「ショートインプラント」と呼ばれる従来のインプラントよりも短いインプラントの導入や、GBR(骨組織誘導再生法)の導入も行っているため、これまでインプラント治療が難しいとされていた方も治療ができる可能性があります。
インプラントのことでお悩みの方は是非お気軽に当院までご相談ください。
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